【子育てコラム⑦】コミュニケーションって難しい!

コロナ対策が緩和され、だいぶ日常が戻ってきたように感じています。最近はマスクをしていない人の方が多くなってきましたね。

幼稚園等でも、マスクをはずす大人の姿を見かける機会が増えたのではないでしょうか。

日常が戻りつつあるそんな中、聞こえるようになったのはこんな声です。

「飲み会を断る理由がなくなってしまった…!」

「正直コロナの時の方が楽だった」

「帰省しなければならない(嫌)」

コミュニケーションが難しい!苦手!できれば避けたい!という大人の声です。

様々な相談を受けていると、「コミュニケーションって難しいよな」と実感することが本当に多くあります。自分にも相手にも気持ちがあって、どちらか一方だけでもうまくいかないし、伝えたいけど伝わらなくて。当たり障りなく、無難に…と思っていても、なぜか波風が立ってしまうこともある。もういっそなくていい…。そんな心境でしょうか。最近は○○でなければならないという固定概念が緩くなり、“これもあり、それもあり”な世の中です。

 

しかし、子どもの世界はそうはいきません。

ご相談の中でこんなお話がありました。

お子さんが幼稚園で複数の子に「大嫌いって言われた」と泣いて帰ってきたそうです。なかなか面と向かって言われない衝撃的な言葉ですね。お子さんが傷つくのも無理はありません。その状況についてよく聞いてみると、2人だけで遊びたい女の子たちがいて、一緒に遊びたそうな相談者さんのお子さんがそばにいて、気持ちと状況の折り合いがつかなかったようです。「2人で遊びたい」が「あっちに行って」に変わり、「大嫌い!」に行きついてしまったとのことです。気持ちを表す言葉がうまく使えず、強い言葉になってしまったのですね。周りにいて、つられて「きらい」と乗っかってしまった子もどうやらいたようです。最終的には先生がお互いの話を聞き、「2人はこんな気持ちだったんだって」「○○ちゃんはこんな気持ちだったんだって」「これを言われちゃうと嫌な気持ちになるよね」「どうすれば良かったかな」と交通整理をしてくれたことで、その場は収拾がついたようです。しかし、その後も相談者さんのお子さんは、その2人と遊ぼうと何日も試みて、泣いて帰る日もあったそうで、親御さんはとても心配していました。集団で生活をしていると、様々なお友達関係の悩みも出てくると思います。違うケースですが、“一緒に遊びたいのにうまく入れない”“お弁当を一緒に食べようと誘ったら断られてしまった”といったお話を聞くこともあります。少し間があって、相談者さんからお子さんが「今日は3人で遊べたの!」「大好きって言われた」と嬉しそうに帰ってきたとご報告を受けました。相談者さんと私は、「そういう結末ってあるんですね」と、とても驚きました。子どもは人とのかかわり方を、こんな風に学んでいくのだなとしみじみ考えてしまいました。

 

このケースではとても微笑ましい結末でしたが、そうではない結末もあったと思います。“一緒に遊べるよう試みた”ことが、うまくいって良かったです。この問題を解決するためのアプローチは、いくつかあったと思います。“そこに入ろうとせずに違う子と遊ぶ”“他の子も誘ってみて輪を広げる”“そんな時はひとりで遊ぶ”…。経験を積んだ大人は、「一度は入れてもらっても、結局は外されちゃうんじゃない?」とか「無理してそんなところに入れてもらおうとしなくていいのに」とつい考えてしまいますが、それではその子の“一緒に遊びたい”が無視されてしまいます。今では、お友達が2人で遊ぶ日もあれば、入って3人で遊ぶ日もあり、4・5人で遊ぶ日もあったりするようです。どんな経験をして何を学び、どういう方法を生きる術として身に着けていくのか、その過程が極めて重要なのだと改めて考えさせられたお話でした。大人が介入して交通整理をしたり、着地点を模索したり、そんな時間は本当に限られた間だけです。その間、たくさんの色んな経験をしてほしいと思います。

 

大人も、「誰か交通整理をしてくれる人がいたら違うのかな」と少し思いましたが、いやいや、それもそれでね。うまく収まることもあれば、余計こじれることもありうるなとつい考えてしまいます。“これもあり、それもあり”、子どもたちの学びを見守りつつ、見守り支える親御さんのお手伝いをしていきたいと思っています。

 

ダンスをする幼稚園児のイラスト