小さいお子さんがいらっしゃる方から、「うちの子は寝るのが苦手で」というお話をよく伺います。昔から、寝る子は育つ!と言われていますね。色々なところで見聞きする子育て情報では、“☆ヵ月くらいだと、午前1回、午後1回の計4回”や“☆歳の適正睡眠時間”、“遅くても20時には就寝”等、 目安となる情報を目にします。その情報に合わせて、「うちは足りていない」、「遅くても20時?早くても20時は無理!」と憂いてしてしまう方も少なくないのではないかと思います。
子どもの健やかな成長のためには睡眠は不可欠…その通りです。しかし、体力や睡眠傾向にも当然個人差があり、思う通りに寝てくれません。“疲れているはずなのに寝てくれない”“添い寝すると楽しくなるのか逆に目が爛々としてしまう…(逆効果!?)”。そんな時には、目安となる情報や“寝かせなければ”という意識から少しだけ距離を置いてみるのもよいかもしれません。 こんなことを書いている私自身も、小児科の先生に「ちょっと寝る時間が遅いかな」と言われ、「いやぁ寝なくて。どうしたら寝ますかね」と相談したことがあります。小児科の先生からは「お母さん、寝ない子は寝ない!」とズバッと回答をいただきました。「そこをなんとか…」と縋ってみましたが、「ダメ、なんともならない(笑)」と返されてしまいました。
子どもの健やかな成長のためであるのは大前提ですが、子どもが寝てくれないと片付けや明日の用意ができない…、持ち帰りの仕事が残っている…、隠してある大人アイスを食べたい…等、大人事情との兼ね合いもありますよね。寝てほしいのに寝てくれないとついイライラしてしまいます。が、大人で睡眠に難しさを抱える方にお伝えすることの一つは、“入眠はコントロールができない”ということです。できないことをしよう・させようとすることには無理が生じます。“眠たくなったらうるさくても明るくても寝る”という言葉もよく聞かれますが、“寝ない子は疲れていても暗くても親が寝ても寝ない”こともあります。できることは、“子どもが眠たくなるような工夫”“寝なくても大人がイライラしないような工夫”だけです。
“眠たくなるような工夫”は、朝一定の時間に起きる、就寝の2時間前にお風呂を済ませる、夕方以降はテレビ等の画面を見せない等いろいろあります。ちなみに私の工夫は、2時間前のお風呂、夕食以後のテレビOFF、そしてお昼寝と添い寝をやめたことです。添い寝はまだまだ必要と言われることが多いですが、一緒に横になると、突然のアカペラ独唱やくすぐりの依頼が止まらないため、子どもには薄暗くした寝室に横になるよう促し、隣に座って洗濯物を畳んだりストレッチをやったりしています。ストレッチは、「やらないと体が痛くなって、明日上手に歩いたり遊んだりできなくなるから…」と軽く盛って、半分は健康のためにやっています。ぎゅっとしてほしい時は時折起きて近づいてきますが、横にいる安心感と本人は特にすることがなくて暇なので、お話が盛り上がりすぎなければ、早めに寝付ける日もあります。最長2時間、アスリートのような入念なストレッチになった日もありましたが、寝かしつけや添い寝は、寝てくれないと時間を無駄にしたような気持になってしまうこともあります。子どもの寝つきを邪魔しないもので、自分がやりたいと思ったことを少し取り入れてみるのもいいかなと考えています。「なかなか寝なかったけど、まぁやりたいことができたし」と思えることは、イライラしない工夫にもなっているような気がします。ネットやテレビでたまに目にする、床で力尽きたように寝ているお子さんの写真や動画に羨望の眼差しをむけつつ、健康上に問題がなければ“必要な時間は眠れている”と言い聞かせて日々過ごしています。