No 9
絵本のタイトル ゆきのひ
作者 エズラ・ジャック・キーツ
エズラ・ジャック・キーツ
訳者 きじまはじめ
出版社  偕成社

9.ゆきのひ

冬のこの時期、「幼稚園で子どもたちに読み聞かせをする絵本は?」と聞かれると数多くの本があげられると思います。しかし、中でも印象に残っているのが、このエズラ・ジャック・キーツの『ゆきのひ』です。

年々、温暖化のせいか横浜あたりでは、ここ数年それほどの大雪に見舞われるということはありませんでした。ところが、2年ほど前のある冬の夜に降り始めた雪が、翌朝、幼稚園の園庭を真っ白に埋め尽くすほどに積もったことがありました。もちろん子どもたちは、手袋に長靴での登園、そして、園庭の雪野原に歓声を上げ、カバンを置くと喜び勇んで飛び出してきました。雪合戦が始まるは、雪だるまを保育者と作る子がいたりと園庭中大騒ぎでした。そんな中、園庭の隅の、まだ誰も足を踏み入れていない場所を見つけて仰向けになっている子どもたちがいました。側に行ってみると、手足を上下左右に動かして、「先生!天使!」と、羽根を広げた天使の形を作っていました。その時は気が付かなかったのですが、それこそ『ゆきのひ』に出てくる男の子、ピーターが、雪の日の朝に作った“天使の形”だったのです。

切り紙・張り紙で構成されたこの絵本は、一見とても抽象的な表現ですが、主人公の黒人の男の子ピーターがとてもかわいらしく表現されると共に、雪に対する子どもの喜び、楽しさ、嬉しさが現れています。まさに町中を白く覆い尽くした雪は、ピーター、いや子どもにとって白いキャンバスと同じで、作る、描くと様々な表現をしてみたくなるのではないでしょうか。是非一度、親子でこの本に触れてみてください。きっと大人の方々も子どもの頃のあの雪の日のワクワクした気持ちを思い出しますよ。(m.k)

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