No 8
絵本のタイトル おおはくちょうのそら
作者 手島圭三郎
手島圭三郎
訳者
出版社 キッズメイト

8おおはくちょうのそら

このお話は、北海道の湖で、実際に起こった出来事をもとに作られたものです。春になり、北国へ帰る時期になり、白鳥の家族は瀕死の子どもを残して飛び立ちます。一羽残された子どもの白鳥が悲しい声で泣いていると、家族は哀れな子どもを残せず舞い戻ってきます。その夜、子どもは家族に見守られ息を引き取ります。北の国に着いた一家は死んだ子どもを思い出します。すると北国の空に死んだ子どもの姿が光り輝きながら浮かび上がり一瞬にして、春の光となって家族の上に降り注いでくるというストーリーです。

私の中では、この本は「死」という重いテーマを扱っているため、すぐに子どもに読んであげることをためらっていました。しかし、ある日私が担任しているAちゃん(年長児)から、「死んだらどこにいくの?」と真剣に聞かれました。簡単に「お空の星になるの」と答えるのは違うのではないかと感じていた私は、この『おおはくちょうのそら』を読んであげることをきっかけに一緒に考えていきたいと思ったのです。

クラスの子ども達にこの絵本を初めて読んだ時、どの子も真剣な表情で聞いていました(見ていました)。そして最後のページで白鳥の子どもの姿が空に浮かび上がった時、Aちゃんの目からポロッと涙がこぼれ落ちました。

次の朝、Aちゃんが登園して来るなり「先生、死んでもおしまいじゃないね」と言いました。何の事かわからず「えっ?」と聞き返すと「はくちょうのこどもはずっとずっとおとうさんとおかあさんのそばにいることがよくわかった」と言うのです。この絵本を通して、自分なりに死というものについて考えたようです。その時、この絵本の素晴らしい所は子どもの白鳥が死ぬ場面で終わるのではなく、最後に春の光となってよみがえり家族の前にあらわれる場面でおわるというところにあるのだと感じました。

その後も、何度も何度も子ども達からリクエストされ読んだのですが、いつでも子ども達はじっと絵本を見つめ、生きていくにはうれしいこともつらいこともあるけど、そこにはいつも家族に愛されているということを素直に心に感じていたように思います。他にも家族の愛が描かれているシリーズが出版されています。(S.I)

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