No 60
絵本のタイトル ちゃん
作者 かこさとし
訳者
出版社 偕成社

60  『 おたまじゃくしの101ちゃん 』

私の勤める幼稚園では、4月の新学期が始まるとすぐに、子どもも保育者もわくわくする体験があります。それは、近所に住んでいる方のご厚意で、ご自宅の池からおたまじゃくしをたくさんいただけるからです。天然の湧き水からできている池には、毎年かえるが産卵にくるそうです。今では貴重な自然になってしまったものを実際に体験できる喜びと同時に、子ども達が目を輝かせておたまじゃくしに触れている姿を見ているのがおもしろいのです。大事に飼っていると、そのうちの何匹かはかえるになっていきますが、また春になると自分が生まれた池に帰っていくのかもしれません。

さてこの絵本は、おたまじゃくしに触れていた年中組の子ども達が、少しずつ落ち着き始めた4月終わり頃から読みだしたのですが、せりふを読むたびに笑いが起きるほどの大人気になりました。「おかあちゃん」と甘えるおたまじゃくしの子ども達は、お母さんがえるの話を全然聞かずに、いたずらやけんかを始めてしまいます。特に101ちゃんは、みんなからどんどん離れていくうちに、ざりがにの大親分につかまり・・・さて続きはどうなるでしょうか?というお話です。紙芝居がもとになっていることもあってドラマチックな展開に子ども達は、どんどんお話の世界に入り込んで聞いていたようでした。

作者のかこ さとしさんは、他に『だるまちゃんとてんぐちゃん』や科学的な絵本、あるいは紙芝居にすぐれた作品がある方です。あとがきによれば、1960年に『市べえ沼の大じけん』として発表したお話に手を入れた絵本だということです。1973年に発行されてから現在まで版を重ね、愛読されているのは、子どもと触れ合う経験の中から生み出されているところに、その人気の秘密があるのかなと思っています。(k.s)

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