No 6
絵本のタイトル すてきな三にんぐみ
作者 トミー=アンゲラー
訳者 今江祥智
出版社 偕成社

6.すてきな三にんぐみ

アンゲラー(ウンゲラー)は、フランスで生まれましたが、17歳の時に通っていた学校を放校になり、その後、イギリス、イタリア、オランダ、スカンジナビア、アイスランド…と放浪生活を続けます。そして、20歳の時に兵役でアルジェリアのラクダ部隊に配属になりますが、1年で本国に送還と、これだけでも十分本になりそうな生活を経、さらに放浪の末に25歳でニューヨークに着き、絵本作家としてデビューします。最初の絵本は、豚のメロープスを主人公としたシリーズものですが、残念ながら日本では出版されていないようです。アンゲラーは、その後、子どもの絵本には決してふさわしいとは思われなさそうな、へび・たこ・はげたかなどを主人公に、次々と楽しい絵本を描いていきますが、アンゲラー自身、犬やペットは嫌い(猫はまだまし)と言っているので、むしろ当然の結果なのかも知れません。

今回ご紹介する「すてきな三にんぐみ」は、アンゲラーとしては9冊目の絵本ですが、日本では最初に出版された絵本になります。アンゲラーの作品の多くには、毒やいたずらがたっぷりと盛り込まれているのに反して、この本は、実にさわやかな内容になっています。それでも悪人の代表のはずの泥棒が、国(政府)に代わってとてつもなく素敵なことをやってしまうのですから、風刺といえばこの上もない風刺なのかも知れません。またこの絵本は、アンゲラーが自分の娘のために描いており、この訳を手がけた今江祥智さんも、自分の娘のために、原書を訳しながら読んであげたというのがきっかけという話を聞くと、何とも不思議な気がします。今江さんは、この本の原題『THE THREE ROBBERS』を『すてきな三にんぐみ』と訳していますが、ここに象徴される妙訳のすばらしさも、この絵本の魅力の一つになっていると思います。(T.S)

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