No 59
絵本のタイトル パパのカノジョは
作者 ジャニス・レヴィ
クリス・モンロー
訳者 もん
出版社 岩崎書店

59  『 パパのカノジョは 』

ある日、絵本委員会に行くと、S先生が「ぽ先生この絵本読んでみて下さい。」と一冊の絵本を差し出しました。「ぽ先生がきっと好きな好きな本ですよ。」のおまけつきでした。マイケル・デュドク・ドゥ・ヴィット・作 うちだややこ訳の『岸辺のふたり』(くもん出版)でした。映画のシーンのような雰囲気の中で、父親との情感を思い出の中にだぶらせている絵本でした。情に弱く心に響く絵本の紹介を心がけている私の心理を察して紹介して下さったと解釈していますが・・・・・。

読み終えて何か言おうと思っている私に間を置かず「こっちの絵本はどうですか?あまり好きでないと思いますが」と渡されたのが『パパのカノジョは』でした。題名を見てまずはびっくり、こんな題名あり?日本の絵本の世界ではこのような題名、どんな作者でも思いつかないだろうし書こうなんて思わないはず。もし書いたとしても出版されるなんてありえないおまけに表紙の帯に『一見ちょっとかわったパパのカノジョとわたしの微妙な関係』などと紹介文がついている。表紙と題名を見ただけで内容は?あらすじは?と読む前からマイナスイメージの連続でした。でも読み終えるとマイナスイメージはもののみごとに払拭されていました。

これから読まれる方のために内容の説明は差し控えますが、現代のアメリカの抱えている状況、離婚率の高い環境で育つ子ども達。そうしたアメリカだからこそこの絵本が生まれたのかもしれませんが、アメリカの子ども達は複雑な環境でもしっかり自分を見据えて生きている強さがあると感じました。この絵本の中の少女にもそんな事を感じ子どもらしさと、ちょっと大人ぶっている様子がほほえましいのです。

私は、もしかしたら日本の今の母親と子どもの関係においても、子どもにとってはこの絵本のカノジョくらいの距離が心地よいのではないか、丁度いい温度ではないかとふとそんな事を思いました。まずは題名と表紙にこだわらず、勇気をふるって手に取ってみて下さい。そして、S先生に一言「好きでないと思いますが?」との事ですが私の好きな一冊になりました。(ぽ)

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