No 55
絵本のタイトル おおきいツリー ちいさいツリー
作者 ロバート・バリー
訳者 光吉夏弥
出版社 大日本図書

55  『 おおきいツリー ちいさいツリー 』

クリスマスが近づいてきましたね。いつのまにか、街中のディスプレイがクリスマスのものとなり、なんとなくわくわくそわそわする季節になってきました。本屋さんも例にもれず、この時期には、クリスマスの絵本がたくさんおいてあります。「どの本をプレゼントにしようかな?」なんて考えている人もいるのではないでしょうか?

小さい頃、キリスト教系の幼稚園に通っていた私にとっても、クリスマスの季節は特別な季節でした。キリストの生誕劇(ページェント)を終えたあと、園庭に出てみると、あちらこちらにくくりつけられていたプレゼントの絵本たち。自分の絵本をみつけだしたときの喜びといったら本当に格別のものでした。大事に抱えて帰って、何度も何度も読んで、大人になって、手元からなくなってしまっても、忘れられない絵本。今回紹介する、「おおきいツリー ちいさいツリー」は、園庭につるされていて、我が家にやってきたクリスマスの思い出がいっぱいの一冊です。

ウイロビーさんのおやしきに届いたのは、みたこともないほどおおきな青々としたツリー。とってもとっても立派なツリー。でも、ちょっと、大きすぎたみたい、天井につっかえてしまいました。そのつっかえてしまった先っぽをちょきんときった執事さん、その先っぽどうするの?というお話。ツリーの先っぽをめぐって、いろんな人物や動物の様子がユーモラスに描かれています。クリスマスツリーは、クリスマスのお祝いをするのにはかかせないアイテムですよね。そのツリーをいろいろな人や動物に順々に分け与えていって、それぞれが、幸せなクリスマスを過ごしていくという、読んでいるうちにこころがあたたかくなる一冊です。クリスマスだからこそ、‘家族’、‘みんな’でという思い、そして私が幼稚園時代もらったこの本から一番感じるのは『分け与える幸せ』だったのかもしれません。形を変えてどんどん小さくなっているものの、もらった登場人物たちは、ツリーのおかげで、幸せな気持ちになっていく。知らず知らずのうちとはいえ、他に分け与えながら、みんなが幸せで平和なクリスマスを過ごせるようにと願いは広がっていくように思います。

作者のロバート・バリーは、1931年、アメリカ生まれ。ロードアイランド・デザイン校を卒業後、ヨーロッパの美術学校で学んでいます。「おおきいツリー ちいさいツリー」が評判となり、絵本の製作に携わり続けています。この本は1963年にアメリカで出版されて以来、長く愛され続けていた絵本です。また、訳者の光吉夏弥さんは、毎日新聞の記者を経て、絵本・写真・バレエの研究や評論で活躍。子どもたちの大好きな、「おさるのジョージシリーズ」の訳や、マンロー・リーフの『はなのすきなうし』など多くの児童書の翻訳を手がけている人です。

この作品、ストーリーの面白さもさることながら、イラストのひとつひとつが、クリスマスの喜びを表していて、生き生きと、描かれています。暖かい気持ちになりたいとき、どうぞ、手にとってみてください。(T.I)

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