No 43
絵本のタイトル まがれば まがりみち
作者 井上洋介
訳者
出版社 福音館書店

43  『 まがれば まがりみち 』

幼いころ、「隣の家には、怖い人とか、宇宙人とかが住んでいていつか私をさらおうとねらってるんだ!」なんて考えて、怖くて仕方がなかったことありませんか?後日、その家のおばさんにあったら、意外に優しそうなのに、ほっとしたり、でもちょっぴりがっかりしたり。
 「ひぐれの町の曲がり道 何が出るのか 曲がり道・・・」と最初から最後までテンポよく繰り返されるこのお話は、曲がり角から、なにがでてくるんだろう・・・。と子どもたちのドキドキする気持ちをかきたててくれる一冊です。

 普段はなにげなくみているものなのに、夕暮れの力が手伝って、いつもの散歩中、いつもの曲がり角から、大きながまがえるや、みずまき小僧、一番星など、なにかとんでもないものがでてきて、出会ってしまうのではないかというシンプルでナンセンスなストーリー。ですが、子どもたちには、このシンプルさやナンセンスさが想像力をフルに回転させるきっかけになっているようです。以前、子どもたちの前でこの絵本を読んだとき、となりの子ども同士肩を寄せ合い、きゃーと声をあげながら聞いていたので、こわかったかなとおもっていたら、絵本を読み終わったあとに、この絵本を手にとって、「~ちゃん、一緒に見よう」と、友達を呼びにいく姿が、よく見られました。怖いけどみたい、でも、怖い。それなら友達と一緒にみたらどうだろう。「~ちゃんは、何が出てくると思う?」なんて話しながら本をめくる子どもたちの楽しそうな顔。一人で、というよりは、誰かと一緒に見たいと子どもが思うのはこの絵本ならではのものではないでしょうか。

この本の作者である井上洋介は、1931年、東京生まれ。美大を卒業後、油絵、漫画、イラストレーション、そして絵本の世界で活躍しています。作品も多岐に渡り、この『まがれば、まがりみち』や、『へんなえほん』のようなナンセンス絵本と呼ばれるものばかりかと思うと、『くまのこウーフ』のようなかわいらしい作品もてがけている人です。
 この作品、一見、表紙の絵もおどろおどろしく、不思議な感じ。本屋さんにおいてあっても、手に取るかしら?なんて思われがちな作品かもしれません。でも、いつでもなんどでも、子どもたちの想像力をゆさぶる作品ではないでしょうか。(T.I)

 

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