No 268
絵本のタイトル ありとすいか
作者 たむらしげる
たむらしげる
訳者
出版社 ポプラ社268

268 『ありとすいか』

今年の夏季保育に園児のおばあちゃまが、それは見事な西瓜を長野から車で持って来てくださいました。早速、その西瓜を保育室に運んでいくと、子ども達は「わぁ~」と歓声を上げ西瓜に近寄ってきました。そして手の平で「ポンポン」と叩いたり、さすりはじめました。中には西瓜に頬をギュっと押し付けて「つるつるで冷た~い」と感触を身体で感じている子もいました。

考えてみれば、家族構成が2世代や3世代一緒に住んでいた頃とは異なり、核家族が主流になった現在では、スーパーは勿論のことデパートや八百屋さんで切ったり、丸くくりぬいた西瓜を売っています。子どもたちにとって西瓜は、緑色に黒の線が入っている丸い西瓜よりも、赤や黄色の色が見えている形の方が見慣れているかもしれません。

暑い夏は「西瓜が一番!」と私の子どもの頃は、井戸の中に西瓜を冷やし食べたものですが…

今回ご紹介する絵本は「ありとすいか」です。表紙いっぱいに描かれている西瓜に、小さいけれど表情豊かなありが群がり、何やら運んでいる様子が描かれています。子ども達と一緒に絵本を見ていきますと、ありが大きな西瓜を持ち上げようと奮闘する姿や、運ぶ場面では「あがれ~」・「よいしょ!よいしょ!」と掛け声が上がり、西瓜を食べて大きくなったありのお腹を見ては「ぷんぷくりんになっちゃった」と友達と笑っていました。絵本を見ながら感じた思いを発する姿が多く見られたのは、実際に大きな西瓜を触った感触が残っていたことや「私達も西瓜を…」と思ったからなのかもしれません。

ちなみに、おばあちゃまから頂いた西瓜は西瓜割を楽しんだ後、絵本のありのように、自分の好きな大きさの西瓜を選び、心行くまでお代わりをして食べました。

たむらしげるさんの小さいものが大きいものに出会って…という、独自の作品世界の原点となった幻の処女作です。子どもから大人まで楽しめる絵本です。

はな

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