No 266
絵本のタイトル あげます。
作者 浜田 桂子
訳者
出版社 ポプラ社

266 『あげます。』

4月半ばのことでした。4人兄弟の3番目(女児)が年少組に入園したばかりの家庭で、5人目の子どもが出来たことがわかり、兄弟を集めてそのことを発表したところ、長男(2番目の子どもで、この春小学1年生になりました)が一番喜んで「お母さん、ありがとう」と言ったんですと、その子のお母さんがうれしそうに話してくれました。

3人兄弟の末っ子の私としては、幸か不幸か、自分に下の子が生まれるという経験がありません。しかし、だいぶ前(30年位は経つのでしょうか)に参加した研修会で、講師の方が、幼稚園時代の子どもにとって、下の子が産まれるということは、夫が突然愛人を連れて来て「今日から一緒に暮らすことになったから」と言われるくらいショックなことなのだと話されたことが印象に残っていて、私だったらその1年生のお兄ちゃんのように、喜んでその事実を受け止められたか甚だ疑問に感じます。

今回紹介する絵本に登場するお兄ちゃんは、絵や工作が上手だということを除けば私の感覚に近いのかもしれません。しかし、大いに違うと感じるところは、赤ちゃんと関わりあうことによってどんどん成長していくことで、相手が大人であろうが赤ちゃんであろうが、人と関わることが苦手な私にとっては何とも羨ましい次第です。

この作品は、新しい家族を迎えた兄弟の心の葛藤を描いただけではなく。子どもはお互いに関わりあうことによって成長していく姿を、暖かくそしてユーモラスに描いています。

浜田さんは、『ぼくのかわいくないいもうと』という絵本も書かれていますので、ぜひ併せてご覧ください。

蛇足ながら、タイトルの「あげます。」の「。」に妙にひっかかっていいます。お兄ちゃんの強い意志の表れ、ということなのでしょうか?(S.T)

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