No 262
絵本のタイトル イソップものがたり うさぎとかめ
作者 ジェリー・ピンクニ−
訳者 さくまゆみこ
出版社 光村教育図書

262 イソップものがたり うさぎとかめ

イソップ寓話の中でも『うさぎとかめ』は有名な話の一つです。石原和三郎の「もしもし亀よ 亀さんよ」の歌詞で始まる童謡としても馴染み深いので、話の筋は皆様よくご存知のことと思います。

今更こんな話の絵本なんてとお思いの方もいらっしゃるかと思います。しかし、アメリカの砂漠を舞台に、大勢の仲間の動物たち(ガラガラ蛇も毒トカゲ、ワニといった恐ろしい動物も皆仲間として描かれています)に見守られながら展開するうさぎと亀の大勝負が、ピンクニ−によって、ダイナミックに、そしてコミカルに描かれ、勝負としては予想通りの結果に終ってしまうものの、見ごたえ十分としか言い様がありません。

もとが寓話ですから、教訓が含まれているのは致し方ないのでしょうが、作者のピンクニ−は、あとがきに「ゆっくりでも着実なものが競争に勝つ」というメッセージは若い頃の私にとって特に大きな意味を持っていた、ということと、うさぎの姿を通して「勝つことがすべてではない」ということを語らせたかったと書いていて、その思いは作品の随所から感じとれます。

絵本本体の表紙・裏表紙が、カバーの絵と全く違うというのも珍しく(本体のページでは描き足りなかったのかもしれません)、とくに本体の裏表紙からはうさぎと亀の熱い友情が感じられて、なんとも微笑ましくなります。

余計な話かもしれませんが、日本では『うさぎとかめ』ですっかり定着している題名も、この本の原題では『かめとうさぎ』となっています。いつ、何処で、誰が、どのような理由で、入れ替えてしまったのかはわかりませんが、原題のように、勝者の名前を先にあげるのが競技の原則に適っているのかもしれませんね。(S.T)

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