No 245
絵本のタイトル てんじつきさわるえほん『ぐりとぐら』
作者  中川李枝子
大村百合子
訳者
出版社 福音館書店

245 てんじつきさわるえほん『ぐりとぐら』

 

今回取り上げた作品は、『ぐりとぐら』の刊行50年を記念し、2013年に点字つき絵本として出版されたものです。絵と文を一緒に感じてもらえる点字絵本はそれまでなかったため、出版にあっては、樹脂がつぶれないプレス技術の開発をはじめ、ページの中央に絵が来ないように位置をずらしたり、絵を読み取りやすいように実際より少し大きめに樹脂をのせるなど、さまざまな苦労があったと聞いています。実際に読んだ方から「子どもの時に読んでもらい、どんな絵が描いてあるのかずっと知りたいと思っていたので、すごくうれしい」など、多くのうれしい感想が寄せられているとのことです。

内容につきましては、改めて紹介する必要がない程皆さん良くご存じだと思いますし、この「絵本の散歩道」でも20册目に紹介していますので、そちらを参照していただきたいと思いますが、今回紹介しようと思ったのは、ネズミと卵にまつわるちょっと興味深いレポートを目にしたからでした。

それは「ネズミはどのようにして、卵を割らずに巣穴まで運ぶのか?」という文章で始まる「石を金に変えてはいけないわけ」と題された北海道大学の武田雅哉先生によって書かれたレポートで、その方法は、一匹が卵を手足で抱えてあおむけになり、もう一匹がそのシッポを引っ張っていくという、言われてみればしごく簡単であり、眉唾といえばかなり眉唾な方法でした。更にもっと驚いたのは、この方法がプリニウスの『博物誌』やラ・フォンテ−ヌ『寓話』の中で語られているなど、世界各地で伝えられているとのことで、肝心の本当にネズミにそんなことができるのかどうかは、専門家の中でも意見が別れているようで私には真偽のほどは分かりません。しかし、卵がお腹に抱えて持ち帰れない程大きかったおかげで、戸外で楽しく料理することになった訳ですし、その匂いに惹かれて集まった大勢の動物たちと、仲良く食べることもできました。そして、そんな素敵な話が絵本になって、50年以上にもわたって多くの人々に愛されているのですから、本当にめでたしめでたしですね。(S.T)

« »