No 24
絵本のタイトル きりのなかのはりねずみ
作者 ノルシュテインとコズロフ
ヤルブーソファ
訳者 こじまひろこ
出版社 福音館書店

24 『 きりのなかのはりねずみ 』

ロシアで有名なアニメーション作家ユーリー・ノルシュテイン氏と児童文学作家セルゲイ・コズロフ氏が物語りを作り、アニメーション美術監督フランチェスカ・ヤルブーソファ氏が絵を描きました。2000年10月発行の作品です。

さて、物語は、主人公のはりねずみが薄暗くなって友だちのこぐまの家に「お茶を飲みながら星を数えて夜を過ごす。」ためにお土産を持ってでかけます。途中、霧の森の中でみみずく、白い馬、かたつむり、銀色の蛾、灯りになってくれた蛍、(暗闇の恐ろしいばけものたち)、大事なお土産を届けてくれた犬、川から助けてくれたなまずと色々な出会いを体験し、やっとこぐまの家へとたどり着きます。

絵には、薄暮から夜へと日暮れ時の何か淋しいイメージが付きまといます。それは同時に幻想的でもあります。霧の白は、闇の黒を対比させるため効果的に使われ、主人公のはりねずみのかわいい姿や表情が暗い中にも明るさを与えています。水溜りで遊んだこと、井戸を覗き込んで自分の顔を見たり、こだまを楽しんだこと、誰もいない暗闇が怖かったこと等、私の幼かった頃の原体験でもあります。ようやくたどり着いたこぐまの家のランプの暖かそうなこと、着いた頃には霧もすっかり晴れて、美しい星空を二人仲良くながめているうしろ姿は、とても暖かくなります。
 また季節は、霧、かたつむり、イチゴ、蛍の登場から梅雨から初夏の時季と推測されますが、ねずの木で沸かしたお茶を飲み、星を眺めるということは、少し寒くなって星の綺麗な時期の秋から冬の時季と推測され、日本では矛盾を感じる所ですが…

理屈はさておき、はりねずみと一緒に霧の中へ出かけてみましょう。この秋お薦めの一冊です。(AND

 

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