No 237
絵本のタイトル ぶたにく
作者 大西暢夫
訳者
出版社 幻冬舎エデュケーション

237 『ぶたにく』

「今夜かもしれない。満月の日の夜に生まれることが多いって聞いた。こやの中からかすかな寝息が聞こえる……」

「妊娠して子豚が生まれるまで114日間かかる。今日がその出産予定日だ。乳首をぎゅっとつまむだけで、乳が飛び出した」こんな出だしで始まる写真絵本『ぶた にく』。

ほとんど豚と同じ高さから撮った写真で、出産、授乳と子豚たちのかわいらしい姿が映し出されている。生まれた時の体重は約1.2㎏、1週間から10日すると2倍の重さになるそうだ。

かわいい子豚の写真が続き、1カ月で離乳。「近くの学校や施設やお店から集まった残飯。全部豚の餌になる。牛乳は冷えたままの手つかずの状態で捨てられていた」こんな文章のまわりに残飯が山になった写真。7カ月の豚のいろいろな表情、しぐさはかわいい。生まれてからわずか10カ月ほどしかたっていない若い豚が屠場に連れて行かれる。体重は120キログラム、生まれた時の100倍の重さ。

次の場面は皮をはいで逆さにつるされ、血を抜かれた頭のない豚肉。

この場面で子どもたちは一瞬息をのむ。

日本では1日6万頭もの豚が肉になっているとのこと。

 

一方豚舎では種付け、出産と、次の出荷のための作業が始まっている。

生まれたばかりの子豚の授乳シーンの写真の下に「またこの光景に出合った。1時間に僅か20秒くらいしか乳が出ない。その瞬間のために、子豚は乳首をまさぐっている。そして今日も立ち上がり、また、今日も眠る。」とあり、最後に「豚は人間の都合で生かされているのだ。人間にとって、時にはかわいい生きものだけど、やっぱりおいしい生き物なのだ。すべてを食べつくしてこそ、むくいることだとぼくは思う」と書かれています。

 

沖縄では、国際通りの市場で子豚の頭を展示販売してありました。また道角に「豚の丸焼き5万円」等の広告を見かけました。私の子どもの頃は、近所の肉屋には牛や豚がつるされていたのを見ていましたが、私たちの身の回りでは、屠殺から肉になるまでは誰にも見せない部分になっています。写真集で一瞬息を飲む子どもが、「食べること」、「生きること」、「命とは何か」について、いつか考えてくれたらいいなと思います。

(こんなえらそうなことを言っていますが、私もいろいろ考えてしまいました)

(具)

 

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