No 205
絵本のタイトル 月夜のみみずく
作者 ジェイン=ヨーレイン/詩 
ジョン=ショーエンヘール
訳者 工藤直子
出版社 偕成社

205 『月夜のみみずく』

日本野鳥の会は、野鳥保護など本来の活動の一環として「探鳥会」というものを行なっています。探鳥会は、会員以外にも開かれていて、地域や季節に応じ、さまざまな鳥(他の小動物などを含む場合もあります)が対象となっていますが、フクロウやミミズクを観察にいくという話はあまり聞いたことがないように思います。夜行性ということもあって、人前に姿をあらわすことが少ないからなのでしょうか。

今回紹介する絵本は、冬の満月の夜、父と娘で森にワシミミズクに会いに行くという話です。本のカバーにあった作者二人の紹介文には、ミミズクに会いに行くことは、家族や子どもたちとの特別な楽しみであったと書かれてありました。ごく親しい人たちと、普段は見ることの出来ない動物たちとひそやかに出会うという体験は、さぞかし特別なことだったのでしょう。

絵本の中で語られている「あえたり あえなかったりするー それが みみずくなのさって」という言葉は、自然に対して謙虚でなければならないという父から子どもたちへの教えであり、目に見える形で結果を示さなくても揺らぐことのない重厚な信頼関係がその背景にあることが伺い知れます。

この日がやって来るのを心待ちにし、父や兄たちの言葉を一つ一つ思い起こしながら父について歩く女の子の思いの強さがその足取りの逞しさとなってページに溢れています。また、期待に胸膨らませる女の子の心の内は、訳者の工藤直子さんが詩と明記したジェイン=ヨ−レンの暖かな言葉で綴られています。神秘的な体験を終え、明かりの灯る家へ向かう父と娘の姿が二人の関係を象徴して描かれ、その情景を優しく照らし出す『OWL  MOON』が、この作品の原題となっているのは何とも心憎いのです。(S.T)

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