No 2
絵本のタイトル つるにょうぼう
作者 矢川澄子
赤羽末吉
訳者
出版社 福音館書店

2.つるにょうぼう

『つるにょうぼう』というのは、皆さんよくご存じの日本の昔話ですが、日本のいろいろな地方に少しずつ違った形で伝わっています。『つるのおんがえし』というのもその一つで、子どもたちにはこちらの方が知名度があるかも知れません。

絵本紹介の第1号としてこの作品を選んだ理由も、やはりこの本の持つ魅力の人並みならぬ所以かも知れません。

妻をめとるということは子どもには話しにくいとか、昔話にはやっぱりお爺さんお婆さんがあっているというわけではないと思うのですが…。欧州でも、動物と人間が結婚をするという話はありますが、呪いや魔法でもともと人間だった者が動物に変えられていたといった場合が殆どで、日本(おそらくアジアも)のように、動物が人に姿を変えて、違和感なく人間の世界の入ってくるという話はあまりないように感じます。

赤羽末吉は、市村久子の『おおきなおおきなおいも』の楽しいお話に本当にぴったりの絵をつけていますが、『かさじぞう』に始まる一連の作品では、日本の昔の風景を、まさに日本の色そのものといわれる美しさで描き出しています。絵本紹介の2冊目に赤羽永吉の作品を取りあげたのは、『つるにょうぼう』の色が一番好きだという知人の言葉を思い出したからですが、それ程に美しい色合いが使われています。

出版社のお話だと、赤羽末吉が『つるにょうぼう』を描くにあたっては、数年(うろ覚えだと7年だったかも)をかけて自分のイメージに合うはた織り機を探して日本中を周り(結局見つからずに博物館にあった物をもとに自分で考えたとか)、次にそのはた織り機の時代に応じた服装、色彩などを決めて描いていったとのことですが、もっと凄いと思うのは、それだけ労力をかけたはた織り機が、でしゃばらず実にシンプルに描かれているという点です。また、色合いの美しさだけでなく、空間の使い方も素晴らしく、特に最後の見開き4ページを使っての場面は、つるがもう二度と人間の世界に戻ることはないということを表現するだけではなく、単なる哀しみを通り越して、それがむしろ自然の姿なのだということを暗示させているように思えます。(S.T)

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