No 165
絵本のタイトル 白い牛をおいかけて
作者 トレイス・シーモア
ウェンディ・アンダスン・ハルパリン
訳者 三原 泉
出版社 ゴブリン書房

165  『 白い牛をおいかけて 』

私が小学生の頃、といっても昭和30年代にまで遡ることになるのですが、夏になると毎夕、庭から味噌汁に入れる「みょうが」を採ってくるのが私の日課となっていました。どうということのない仕事のように思えるかもしれませんが、「みょうが」の生えている場所は、やぶ蚊が手ぐすねひいて待ち構えている我家では最も危険な場所で、一瞬でも立ち止まろうものなら、それこそぼこぼこに刺されてしまうほどなのでした。

そんな日が続くと、私の関心は「みょうが」採りからやぶ蚊退治へと次第に移っていき、蚊取り線香を細かく刻んで花火の火薬と混ぜ、導火線を付けて放り込むなど、やぶ蚊退治という大義名分のもと、自分なりにあの手この手と、まさに充実した夏の日々を送っていたように感じます。

今回紹介する絵本は、牧場から逃げ出した1頭の白い牛に翻弄される男たちを純粋な少女の眼を通してユーモラスに描いていきます。そして、誰にも捕まえられないが故に男たちの白い牛への賛辞が増えていく中、少女はとうとう白い牛と出会います。少女は果して牛を家に連れて帰ることはできるのでしょうか。
なかなか成し遂げられないがために余計に魅力を感じてしまうことってありますよね。ちなみに、我家のやぶ蚊はまだまだ健在です。(S.T

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