No 144
絵本のタイトル なんだかうれしい
作者 谷川俊太郎+だれかとだれか
訳者
出版社 福音館書店

144  『 なんだかうれしい 』

私はすこぶる単純な人間なので、冬の朝、園庭の池に氷が張っていただけでも何だかうれしくなり、すぐ人に話したくなってしまいます。園に向かう道で、水たまりに張ったまだ割れていない氷を見つけると、これもついついうれしくなって、パキパキと割らずにはいられなくなってしまいますが、そうやって寄り道をしながら園までやってきたことは、ちょっと恥ずかしくて誰にも言えません。

小学校の何年生だったかは思い出せませんが、梯子を使わずに始めて家の屋根(勿論平屋です)に登れた時はうれしかったし、ちょっと恐くて決心までには多少時間がかかったものの、そこから飛び降りられた時も相当うれしかったことを覚えています。でも、そのことは親は勿論、友達にも内緒にしています。

単に恥ずかしいとか、後ろめたいとかいうわけではないと思うのですが、何だかうれしいと感じることの中にも、人に伝えたくなることと、内緒にしておこうと思うことが私にはあり、他の人もきっと同じなのでしょう。

この絵本にも、秘密(私の場合は秘密と言えるほどのものではありませんが)を持っていることも「なんだか うれしい」ことの一つとして描かれていますが、他にも沢山の「なんだか 」が登場し、秘密も良いけれど、人と何かを共有できることがきっと一番「なんだか うれしい」ことなのかもしれないとうれしい感じたりもします。

うれしいとか、悲しいとかを自分の胸だけにとどめておかないで、誰かに伝えたい、人と共有したいと思うことが、詩とか絵画とか音楽の始まりで、いろいろな絵本が創り出されてくるのも同じ理由なのでしょう。この絵本を見ると、きっと自分にとっての「なんだか うれしい」が心の中に浮かび上がってきて、それがまたこの絵本を魅力的に感じさせる一因になっているのだと思います。(S.T

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