No 139
絵本のタイトル おおきな木
作者 マシェル・シルヴァスタン
マシェル・シルヴァスタン
訳者 ほんだきんいちろう
出版社 篠崎書林

139  『 おおきな木 』

この絵本の原題は『THE GIVING TREE』となっておりますが、なぜ『与える木』と訳されることになったのでしょうか。表紙のみカラーですが、中は黒一色の繊細な線で描かれています。

ストーリーは、一人の男の子が、幼年期・青年期・壮年期・老年期と積み上げていく中で、一本のりんごの木と関わっていく様子を描いています。木はいつでも一人のともだちを温かく迎え、木の葉、果実、枝、幹など自分の肉体を削って全てを与えます。そこに喜びを感じています。

これは、「無償の愛」と呼ばれるものなのでしょうか。私は、最近観た映画の中で、リリー・フランキー原作の『東京タワー』の母親と息子を連想してしまいました。

この絵本は、1964年にアメリカで出版されて以来、1973年にはフランス語にも訳されロングセラーを続けています。名前だけは聞いたことがあるという方も多いのではないかと思いますが、じっくり読んでみることをお薦めします。作者の思想が現れているからだと思うのですが、読む人によってさまざまな感じ方ができるところにこの絵本の奥深さが感じられます。

幼稚園で年長児に読んでみた時には、何度も出てくる「それでも木は嬉しかった」というところで、子ども達は「えー!なんで?!」と言い、近くの子と顔を見合わせて驚いていましたが、そのうちに「仲良しだからじゃない?」「遊びに来てくれたから、嬉しかったのかな」などと、思い思いに感じたことを口にしていました。

読み手によっては、「何て人間って、欲深く傲慢なんだろう」とだけ感じてしまうかもしれません。恋人や夫婦関係で、相手にだけこのりんごの木のような愛を求めるのも、私の経験からうまくいかない気がします。「与える愛って何でしょう?」

ぜひこの絵本を読んで、感想を聞かせてください。(k、s)

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