No 118
絵本のタイトル ゆめのおはなし
作者 クリス・ヴァン・オールズバーグ
クリス・ヴァン・オールズバーグ
訳者 さいごうようこ
出版社 徳間書 店 

118  『 ゆめのおはなし 』

昨年、『ALWAYS 3丁目の夕日』(山崎 貴監督「ALWAYS 3丁目の夕日」製作委員会)という映画を観ました。話題になった映画なので、ご覧になった方も多いかと思います。

山崎 貴の監督作品では、『ジュブナイル』『リターナー』と、タイムマシンの登場する作品が2つ続き、今回これでタイムマシン3部作が完成するのかと勝手に思い込んでいましたので、映画の紹介を見ても、どうやってタイムマシンと結びついていくのかと、逆に期待にも繋がっていました。

実際の映画は、皆さんご存知の通り、タイムマシンとは無縁の、東京タワー建設真っ盛りの昭和33年の東京を舞台としたノスタルジー満点の映画でしたが、見終わった時には、前作とは180度違う内容ながらも、観ている私たち自身を、昭和33年へと確実にタイムトラベルさせてくれていたことが実感でき、やっぱり、タイムマシン3部作だったのだと秘かに確信したのでした。 

今回ご紹介する絵本の、『ゆめのおはなし』というタイトルからは、オールズバーグらしいいかにも謎めいた雰囲気が漂ってきますが、ごみや植樹などの環境問題が主題となっていて、いささか教訓めいたところが、ちょっと気になったりもします。それでも、今が、のどかな未来へと続いていくことは、それが絵本のお話にすぎなくても、ほっとした気持ちがして、暖かな読後感へと繋がっていきます。

この絵本を見ると、タイムマシンなんかなくても、夜見る夢だって、未来や過去への立派なタイムトラベルなのだと思えますし、絵本の少年たちが植えた木のように、何世代にもわたる人間を見守って生き続ける木々は、人間の思い出や夢を山ほども詰め込んだ偉大なタイムカプセルなのだろうと思えてくるのです。(S.T

 

« »