No 217
絵本のタイトル グランパ・グリーンの庭
作者 レイン・スミス
訳者 青山南 
出版社 BL出版

217『グランパ・グリーンの庭』

1992年にリオデジャネイロで開催された環境サミットにおいて、「生物多様性条約」というものが採択されています。私自身あまり馴染みはなかったのですが、2010年に名古屋で開催された条約締結国会議の際に目にした大久保尚武氏(経団連自然保護協議会会長)の投稿文の中に印象的な部分がありました。“欧米と日本の自然観の違い”という小見出しの中で、日本の神社では、神殿だけではなく、森にも神が座すと考えるから、必ず周囲に鎮守の森を残す。しかし、ヨーロッパの教会や修道院では、周囲の森を開墾し自活していくのが神の意だと考えるので周りに森はない、というものです。

また、20年前の話として、カナダ奥地の木材伐採は、樹齢120年程の単一種で植林した米スギを巨大な爪切りのような機械で直径50〜60cmの根元をパチンパチンと伐っていくいわゆる皆伐なのだが、120年経つとまた立派な森になるので、順番に移動していく。これに対して、北海道富良野の東京大学演習林は、択伐を行っている。森は10年で15%程成長して太るので、その太った利子分に相当する本数の木だけを伐る。伐る木を正しく選べば、その下で成長するチャンスを何十年も待っていた若木が太陽の光を得てアッという間に大きく育つ。自然は本来強い再生力を持っている。それを人間がちょっとだけ後押ししてやることが大切なのだというような内容でした。日本の林業すべてがこのようなものではないのでしょうが、両国というよりも、東洋と西洋の自然に対する思想の違いが良くあらわれているように感じました

今回紹介する絵本は、「トピアリ−」という手法で、樹木を動物などさまざまな形に整え、庭を、自分の思い出のアルバムのように形造っていくおじいさんのお話です。「トピアリ−」は、最近開発されたものかと思っていましたら、ローマ時代からあったようで、日本の盆栽とは正反対な印象も受けるのですが、これも西洋と東洋の違いなのでしょうか。

このような思想の違いがあっても、おじいさんの造り出す数々の「トピアリ−」の楽しさと、それらをちゃんと受け継いでいる腕利きのひ孫との絶妙なコンビネーションが、絵本をとびっきり楽しいものにと造り上げています。(S.T)

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