No 77
絵本のタイトル もりのこびとたち
作者 エルザ・ベスコフ
エルザ・ベスコフ
訳者 おおつかゆうぞう
出版社 福音館書店

77  『 もりのこびとたち   』

morikobi[1]ベスコフの描く絵本は、決して裕福な暮らしではありません。でも、いつも本来の意味での豊かさを伝えてくれる気がします。登場人物を通して、自然の美しさも教えてくれます。また、人々が丁寧に生活している様子が読む人の心を満たしてくれます。
この『もりのこびとたち』を1回見ると、森での慎ましやかながらも豊かな四季の生活を楽しむことができます。しかし、2回、3回と登場人物の細やかな表情に思わず笑ってしまったり、妙に親近感が涌いてくることでしょう。

本の内容をご紹介しますと、まず、シダや苔、倒木の感じから、鬱蒼とした森の奥、草や木の陰で繰り広げられる話だという事に気が付きます。森の湿った、あの独特なツンとした土の臭いがしてきそうです。

登場人物は4人のきょうだい。私の勝手な想像では、上から男児7歳、男児6歳(強さに憧れる年子の2人。)続いて女児4歳(面倒見がよい)女児2歳(とにかく甘えん坊)。下の子は、肝心な場面ではいつもミソッかすに近く、まだ半分母親にべったり。でも、本人は上の3人について行く事に必死です。下の子が慕う兄もまた、母親を待つ場面では下の子同様、指しゃぶりをしているなどまだまだ、幼さが伺えます。

勇ましい父親は子ども達の憧れなのですが、よく見るとマツカサの鎧がおかしかったり(本人は至って真剣なのですが)、新しい子どもができた時も知らんぷり、といったように、この本の中で唯一セリフのある威厳のある父であるにも関わらず、少々愛嬌を感じさせられる存在です。  

優しい母親は、いつもせっせと働き、ここぞという時に子ども達を受けとめてくれる頼れる存在です。子ども達の冬服は全て新調しても、自分は殆ど変わらぬ質素なままで、母親の愛情が伝わってきます。

この本で1番素敵だと思うのは、最後の「春の森では嬉しい事が起こります。どの家にもどの巣にも、新しい子が来るのです。」というセリフです。希望に満ちた言葉で、話がさらに続いていくことを感じさせます。でも、ここでも子ども達の現実的な姿が。我さきにと赤ん坊にものを与える上の3人と、自分のポジションが奪われた事をわかっているような、わかっていないような状態でうしろからついて歩く末っ子・・・。

そして、もう1つの見どころは、何と言っても生活の道具の素敵なこと!樺の皮で作ったカゴや盾、ウサギの手綱は何かのツルなのでしょうか、綿をすく様子も詳しく描かれ、見る度の発見があって何度みてもあきません。(まこと)

 

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