No 301
絵本のタイトル あさになったのでまどをあけますよ
作者 荒井良二
訳者
出版社 偕成社

301あさになったのでまどをあけますよ

あさになったのでまどあけま

「人生は楽しいし、窓の外は美しい」。これは、江國香織さんが『絵本を抱えて部屋のすみへ』(新潮社)というエッセイの中で、バーバラ・クーニーが自らの絵本の中で描き出すその徹底した肯定の姿勢を評した言葉です。今回紹介するのはバーバラ・クーニーの絵本ではありませんが、「窓の外は美しい」と感じられることがどんなに素敵なことかが、この絵本の中に凝縮されているように思います。
絵本の中の子どもたちは、窓を開けながら「あさになったので まどをあけますよ」と、読者である私たちに呼びかけてきます。子どもたちは山の麓や川沿いの街、外国の都、南の島、砂漠のオアシスなどさまざまな場所に住んでいて、開いた窓からの風景が色彩豊かに描かれています。そして、絵本の後半からは、子どもたちに代わって、私たち自身が窓をあける側になります。窓の外の街並や風景に中には、あなたの知っている街並や風景もあるかもしれません。
「人生は楽しい」、その言葉通りに実感することはなかなかないかもしれませんが「今日素敵な人に会えた」とか「ずっと取り組んできた仕事がやっとうまく行き始めた」など、表現を変えればそれこそ数えきれない程の楽しさが人生にはあるように思います。
そして、その中でも一番身近に、そして毎日のこととして「朝になったら窓を開け、窓の外の美しさを感じる」ことがあるのではないでしょうか。風光明美な場所でなくとも、行き交う人々の姿の中に、人の営みのエネルギーや美しさを感じることがあると思います。
この絵本は、2011年に出版され、第59回産経児童出版文化賞大賞受賞など、数多くの賞を獲得していますが、それだけの実績が当然と感じられる絵本です。是非手に取ってご覧になって下さい。(S.T

 

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