No 270
絵本のタイトル はいくないきもの
作者 谷川俊太郎
皆川明
訳者
出版社  クレヨンハウス

270 『はいくないきもの』

haikunaikimono[1]昔、奈良を旅行した際、飛鳥の甘樫の丘という所に登りました。その時案内をしてくれた友人から、季節が良い時にはこの丘に仲間と登り、俳句を詠んでいるという話を聞き、ちょっとうらやましく感じました。

その後、残念ながら「俳句」を嗜むということはありませんでしたが,この絵本の「はいくないきもの」というタイトルを見た時に、何とも奇妙で素敵な表現だと思いました。谷川俊太郎さんは、詩人として著名ですが、小学生の時に最初の俳句を詠み、その時の俳号を今も使われているなど、俳句にも造詣が深いことを最近知りました

この絵本は、谷川さんが、赤ちゃんを集めて句会を開いた時の赤ちゃんの頭の中を絵本にしたような印象ですが、荒唐無稽そうに見えても、実際に声に出して詠んでみると、語呂が良く、同じ「あかちゃんから絵本」のシリーズの『んぐまーま』の難解さに比べると、さすがに5-7-5の俳句だけはあるなと感じます。

単にオノマトペで表現しているということではなく、赤ちゃんが言葉を覚えていく過程を垣間みているような、少しずつ日本語に近づいていくような、私たち大人が知っている語呂がちょっとずつ混じっている安心感が、この絵本を大人にも身近なものに感じさせてくれると思います。

頭韻といえるのかはわかりませんが、前の句の語尾が次の句の頭に続いているのも楽しく、まさに赤ちゃんたちが俳句づくりを楽しんでいるようです。

あれこれ考えず、是非声に出して読んで、無条件に楽しい表現味わっていただきたいと思います。(S.T)

« »